キーワードという記憶の種火

GoogleやYahooなどキーワード検索が今では生活の一部となった現代。

少しキーワードという概念について考えてみたいと思います。

 

何か事柄を調べてみたいときにインターネットで検索ツールを使います。その時、調べてみたい事柄に関するワードを探す習慣は皆様もお持ちだと思いますが、実は私たちの脳の中でも同じようなことが記憶を探る上で起きています。

 

例えば、一週間前に自分が何をしていたのか思い出してみましょう。

 

一瞬で、その日のことを全てパット思い出せるような人はまずいないでしょう。(もっともそれが特別な日であったのであれば話は別ですが。。)多くの人は、一週間前に、誰と会っていたかや、お食事をどうしたかだとか、また自分がどこにいたのかなど、自分の親しみやすい事柄を種に頭の中で検索をかけていることが伺えるかと思います。

 

そして、その種が何か自分の記憶に当たった時、爆発的にその周辺の記憶が引き出されます。私の場合で、その例を申し上げますと、私は食べることが好きなので以前に行ったレストランのオイスターバーというキーワードを種火にして思い出します。次に開店前に行列ができていたことや、ものすごくお食事代が安かったこと、お皿いっぱいに並んでいた牡蠣、またついでに白ワインまで頼んでしまったことなどオイスターバーというキーワードで、その周りの詳細な記憶を順々に引き出すことができました。

 

実はこういった詳細な記憶を思い出したいときは、このような少し遠回りに見える方法を採るのが効果的なのです。その思い出したいことを直接その的をめがけて一気に思い出そうと試みるのではなく、その周辺の自分の親しみやすい出来事から思い出して順々に記憶の花を咲かせていくことが大切となります。

 

この方法は逆に記憶を保存したい時にも効果的です。

 

よく歴史などを覚える上では、教科書の文書を丸ごと頭に入れるようなことはまずしませんよね。もちろん、ごく稀に丸ごと覚えられる人もいるのも事実ですが、大抵の人はその時代の重要な出来事や人物などを中心に覚えるということを行います。

 

では、万人がこのような方法を採れば皆、頭がよくなるのではと思われてしまいがちですが、人間はそう簡単な生き物でもありません。そこに人の好き嫌いがあるからです。

 

歴史が苦手な人はなかなか物事を覚えることができないことも事実で、その記憶に残したい種火となるキーワードが自分が好きか嫌いかということも重要となります。

 

間違っても、絶対に覚えておきたいとする大切な記憶を引き出す種に自分の嫌いな事柄をキーワードとして使わないようにしてくださいね。種火さえ消えてしまい、記憶の花は永遠に咲くことはなくなってしまいます。

 

 

2017年02月11日